HASTICニュースレター 173号

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HASTICニュースレター
第173号 2019年3月29日
北海道宇宙科学技術創成センター
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 -今月の目次―

☆ご報告:第16回HASTIC学術技術講演会 報告

☆ご報告:第168回経営企画委(平成31年2月20日)

 
○ 第16回HASTIC学術技術講演会 報告 ○ 

 NPO法人 北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC)主催の
「第16回HASTIC学術技術講演会」が3月13日、北大学術交流会館
で開かれ、室蘭工業大学航空宇宙機システム研究センターの内海
政春センター長(教授)が「室工大・航空宇宙機システム研究セ
ンターのこころざしと野望」と題して特別講演、小型無人超音速
機の実現に向けて「研究者と学生が一体となり、実験機を大樹町
から飛ばす夢に挑戦したい」と語った。

内海センター長は液体ロケットエンジンと推進システムを研究す
る「航空宇宙推進工学」の専門家。1994年、宇宙開発事業団(現
JAXA)に入社。JAXA研究開発部門の研究領域主幹を経て2017年、
室工大の航空宇宙機システム研究センター教授に移り、翌18年に
3代目のセンター長に就任した。

同センターが目指す「こころざしと野望」は、地球低軌道への輸
送や太平洋を3時間で飛行する宇宙往還システムの実現。大気中を
マッハ2(時速2,200㌔)で飛行する小型無人超音速機の開発に向け、
実寸模型の「オオワシⅡ」(全長7.8㍍、翼幅2.4㍍、主燃料バイオ
エタノール)を2016年に製作。現在は材料・構造工学、空力・飛行
力学、エンジン・推進工学、誘導制御・通信の四つの分野から9人
の研究者が構想の実現に取り組むが、「様々な背景を持つ研究者が
連携しながら研究を進めているのがセンターの特徴」と説明する。

同センターが現在、最も力を入れているのが「オオワシⅡ」の縮
小模型実験機(全長2㍍、電動モーター)の量産体制の確立。実験
機はGPSや高度計センサーなどを備え、離陸から着陸までを自律飛
行する機能を備えたもので、2018年度から滑走試験を開始してデー
タを蓄積している。現在、3機保有する縮小実験機を改良しつつ増
強し、「サブスケールでの成果を積み重ねることでフルモデルのオ
オワシⅡの実現に結びつけたい」と今後の戦略を説明する。

一方、同センター長はセンターの教育理念として「ものづくりと
実践教育へのこだわり」を強調。「教員と学生が一丸となり、ここ
ろに決めた野望を野心に変えて目標の実現に挑戦したい」。その一
環として、2019年度にJAXAの基幹ロケットで打上げられる超小型衛
星「ひろがり」(研究者代表・樋口健教授)の開発にも取り組んでお
り、まもなくJAXAの打上げ審査を受ける予定。このような航空宇宙
機の開発を教員と学生が実践する試みを通じ、「航空宇宙の最新の
技術を結集して超音速小型無人機を作り上げ、大樹町の滑空場から
実験機を飛ばしたい」と述べて参加者の拍手を浴びた。

 特別講演に続く講演会では、日本初の有人宇宙飛行を目指すこと
を発表して話題を呼んだベンチャー企業「スペースウォーカー」社
の留目一英・会長が「宇宙往還機・空力」のセッションに登壇。有翼
再利用型宇宙機での宇宙実験や小型人工衛星打上げのステップを踏
んだ上で2027年に有人宇宙飛行を目指す構想を披露、「宇宙機を離
発着させるスペースポートを、是非北海道に作っていただきたい」
と協力を呼びかけた。

講演会ではこのほか、道内の若手研究者を中心に11人がハイブリ
ッド・ロケットエンジンや係留型飛行船の開発、宇宙火災の安全基
準策定などについての研究課題について講演。会場から出された様
々な質問や提言について活発な議論が展開された。

講演会には前年を大幅に上回る50名の聴衆が参加。講演後、北大
マルシェに会場を移した交流会にも約20名が加わって懇親を深めた。

○ 第168回経営企画委員会 報告 ○

 日時:平成31年2月20日(水)
 場所:HASTIC事務所

1.中央要望
 中央省庁等への要望活動を2/5(火)~6(水)に実施したことが
報告された。

2.スペースポート関連
 1/24(木)にニュースペース研究会の会合が開催されたことが報
告された。本研究会の活動は年度末で一段落となり、4月から新体制
に移行するとのこと。
 一般社団法人日本宇宙安全保障研究所(JISS)設立記念シンポジウ
ムが2/18(月)に開催されたことが報告された。
 2/19(火)に北海道経済連合会から、宇宙産業ビジョン『宇宙で変
わる北海道の未来、日本の未来』が記者発表されたことが報告された。

3.ロケット甲子園
 米国、英国、フランスを中心に開催されているロケット甲子園に日
本代表を派遣するための地方大会開催について協力依頼が有った。地
方大会の開催希望が有った際には全国大会事務局に繋ぐこととなった。

4.HASTIC学術講演会
 3/13(水)に開催されるHASTIC学術講演会のプログラムが確定した
ことが報告された。

5.事務局報告
 微小重力実験塔「コスモトーレ」の稼働状況等が報告された。

7.WG報告
 小型無人超音速機WG:無人超音速機「オオワシ」の1/3サブスケール
機体の飛行試験を年度内に実施予定であること、およびその準備状況
等が報告された。騒音低減型自作ハイブリッドロケットの燃焼実験が
成功裏に終えたことが報告された。
 宇宙環境利用WG:コスモトーレの利用状況等が報告された。

                             以上