HASTICニュースレター 170号

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HASTICニュースレター
第170号 2018年12月15日
北海道宇宙科学技術創成センター
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 -今月の目次―

☆ご報告:2018 ビジネスEXPO 報告

☆ご報告:道教大付属函館中生徒の訪問学習 報告 

☆ご報告: 第165回経営企画委(平成30年11月19日)

 
○ 2018 ビジネスEXPO 出展報告 ○

 最先端技術を集めた北海道最大級のビジネスイベント
「第32回北海道 技術ビジネス交流会(ビジネスEXPO)」
が11月8、9日、札幌市白石区のアクセスサッポロで開か
れ、HASTICを中心とする「宇宙のまちづくり推進事業実
行委」が今年もブースを出展。道内で開発された航空宇
宙研究の成果を紹介する一方、大樹町周辺に宇宙基地を
建設する構想の実現を訴えた。

 展示会では今回から設置された「先端技術ゾーン」に
幅7㍍のスペースを借り、北海道宇宙技術創成センター
(HASTIC)、北海道スペースポート研究会(HSP)、大
樹町の3団体が出展した。今回の展示テーマを「北海道
から宇宙へ」「衛星利用の実証は北海道から」と標語で
打ち出し、気象衛星「ひまわり」が撮影した地球のポス
ターを中心に、右側に衛星データ利用の成果や大樹町の
多目的航空公園の俯瞰図、左側にCAMUIロケットや低融
点推進薬のポスターなどで最新の研究内容を紹介、イン
ターステラテクノロジズ(IST)社が7月に打ち上げた観測
ロケットのノズルやカムイ型-90Pロケットの実寸模型、
ハイブリッド・カイトの構造模型を展示した。

 また、室工大の航空宇宙機システム研究センターが20
19年の放出を目指す超小型衛星「ひろがり」の実寸模型
を初めて披露したほか、「ふうせん宇宙撮影」の岩谷圭
介さん(HASTIC会員)が石垣島上空で撮影した映像を仮
想現実(VR)装置で見てもらうなどの多彩な内容となっ
た。

 8日の開会式で、EXPOの高橋賢友・実行委員長は「(胆
振東部地震からの)震災復興をイノベーションで元気にし
たい」と話す一方、「先端技術ゾーンにはロボットの実
機展示のほか、大樹町で打上げられた観測ロケットも展
示した」と述べ、航空宇宙への期待の大きさを示した。

 出展ではHASTIC、HSP役員や大樹町の担当職員のほか、
室工大や道科大の研究者らも直接、研究内容の説明にあ
たり、来場者からは「観測ロケットが今度はうまく上が
るといいね」「室工大も小型衛星を作ったんだ」などの
声が上がっていた。
 今回の展示会には357の企業・団体が出展。人工知能
(AI)やロボット・コーナーも設置され、2日間で2万1千
2百人と過去最高の入場者を記録した。

○ 道教育大付属函館中生徒の訪問学習 報告 ○

 北海道教育大付属函館中学校の1年生が11月15日、
「総合学習」の一環で札幌を訪れ、北大総合博物館の
「CAMUIロケット・コーナー」を見学したあと、HASTI
C事務所で北海道科学大の三橋龍一教授(コンピュー
タ応用学、HASTIC理事)を講師に、宇宙機とプログラ
ミングについて学習した。

 訪問したのは同中1年の渡辺拓真君(13)ら5名。同
中では生徒が3年間を通して追求する「探究活動」に
取り組んでおり、渡辺君のグループは「プログラミン
グを利用した宇宙技術」をテーマに調べている。

 同日午後、他の生徒と一緒にバスで札幌に着き、
「宇宙班」はHASTICが紹介した北大の総合博物館を訪
れた。博物館の2階には北大大学院の永田晴紀教授(宇
宙システム工学、HASTIC副理事長)と植松電気(植松
努社長、赤平市)が開発したCAMUIハイブリッド・ロケ
ットのコーナーがあり、そこでロケットの実寸模型と
ポリエチレンの固形燃料、ビデオの資料を見ながら、
最先端技術であるロケットの開発の経緯や制作費の安
さと安全性、今後の可能性などについて学んだ。

 この後、北大横のHASTIC事務局に場所を移し、三橋
教授が2006年に当時の道工大(現道科大)が全国の大
学で3番目に宇宙への放出に成功した超小型衛星「HIT
-SAT」の実寸模型を手に、通信部門のプログラミング
などの開発について、「コストを下げるため、アンテ
ナは量販店で購入した」「宇宙機のプログラムを組む
ときは、今でも何晩も徹夜をする」などの苦労話を披
露した。

 続いて生徒側から、「人工衛星がハッキングされる
可能性はないのか」「ロケットのプログラミングを間
違える危険性は?」などの質問が出され、三橋教授は
「ロケットや衛星は地上のインターネットなどと隔絶
されているので、ハッキングされる恐れはないが、打
ち上げ前にプログラム・ミスをすると重大な結果を生
むことがある」と述べ、2016年に打上げられた天体観
測衛星「ひとみ」が姿勢制御用データの誤入力で異常
回転し、機体がバラバラに分解したことを例に挙げ、
「これで300億円以上の制作費が失われた。地上での
プログラミングは複数の目で十分、チェックすること
が必要」と説明した。

 今回の訪問学習について山内悠斗君(13)は「CAMUI
ロケットの燃料が個体のポリエチレンだと聞いて大変
驚いた。また、プログラムのミスが宇宙では大きな問
題になることがよくわかった」と感想を述べ、11月下
旬には丁寧な礼状が生徒全員から送られてきた。

 今回の成果は12月中にグループ内でリポートにまと
め、来年1月に校内で発表するという。

○ 第165回経営企画委委員会 ○

 日時:平成30年11月19日(月)
 場所:HASTIC事務所

 議題:

1.北海道スペースポート関連
 11/16(金)ニュースペース研究会が日本橋で開催。
宇宙法制特集。

 商業有人サブオービタル宇宙輸送研究会が11/5に発
足。主催は米本先生のSpace Walkerと緒川さんのPDエ
アロスペース。ニュースペース研究会が後援。事務局
は日本宇宙フォーラム。

2.ビジネスEXPO
 11/8(木)~9(金)にアクセス札幌で開催。21200
名が来場。前年より若干の増。

3.総合学習への対応
 北海道教育大学付属函館中学校から要望が有り、生
徒5名が来訪。北大総合博物館でCAMUIロケットの展示
を案内後、HASTIC事務所で三橋龍一先生から衛星運用
のプログラミング等の説明を頂いた。

4.北海道宇宙ビジネスセミナー
 12/6(木)札幌ガーデンパレスで開催予定。

5.事務局報告
 WG推進事業の財源はコスモトーレの利用収益。今年
度はコスモトーレの利用の出足が鈍かったが、ようや
く入って来たので支援を進めたい。申請のあった室工
大の自動飛行制御実験と道科大のハイブリッドカイト
実験2件の提案が検討され、承諾された。

6.WG報告
・ハイブリッドロケットWG
・固体ロケットWG
 大樹町での打ち上げ実験に向けた準備が進行中。
・小型無人超音速機
 飛行制御、通信、航法の基盤技術開発が進行中。
 オオワシの1/3スケール機体で走行試験を継続。
空力データを取得するため、11月下旬に大樹町で車
載走行試験を実施予定。
 GG-ATRエンジンの燃焼試験が今週後半から開始予
定。
 大阪府立大学と共同で開発中の超小型衛星「ひろ
がり」のクラウドファンディングを実施中。

                    以上